フーケの『フランス王シャルル7世の肖像』に描かれた上部から左右に分かれて王の前に掛けられているかのように見えるカーテンですが、これには絵画的効果と額装的な役割を担っていると考えらます。カーテンと宗教画の関係で、特に聖母画との密接な関係は、聖堂の祭壇や祭壇画の前に保護のために引かれたカーテンにその起源を見ることができるそうです。フラ・アンジェリコやラファエロの聖母子像の上に描かれたカーテンは、聖母のアトリビュートとしての解釈や絵画を神聖化して強調するための仕掛けとしての役割を担っているそうです。この手法は17世紀のオランダ絵画にもよくみられるそうです。フーケは、上部に描いた緋色の掛け飾りと分かれるカーテン、そして額縁とを一体化させて描くことで、王の威厳や神聖さをより強調しようとしたそうです。